コラム
2020年5月9日
小さな紫の花房が風にたなびいている姿が波を思わせたのでしょう。藤の花が風にゆれる様子を「藤波」と言いますが、かつては藤の花そのものを「藤波」と言い、『万葉集』や『後撰和歌集』などにもたびたび歌われています。――みな底の色さえ深き松が枝に千歳をかねて咲ける藤波(『後撰和歌集』よみ人
2020年4月12日
はらはらと舞い散る桜。零れ桜(こぼれざくら)です。日本人にとって、桜はもののあわれを誘う花。諸行無常の世界を瞬時に演じ見せてくれているようで、良寛さんの辞世の句が思い出されます。――散る桜残る桜も散る桜咲いては散り、散ってはまた咲く桜花。今を盛りに咲く花も、やがては零れて地に還っ
2020年3月27日
「おぼおぼ」という擬態語から派生したと言われる「朧(おぼろ)」。ぼんやりと、はっきりしない様子を表しています。ぼうっと霞みがかった月が浮かぶ「朧月夜(おぼろづくよ)」は、晴ればれとした月夜とはちがい、幻想的で、夢のなかを彷徨っているような気分になりませんか。物理学者の佐治晴夫さん
2020年3月8日
間と書いて「あわい」。古典読みなら「あはひ」。音の響きからでしょうか。「あいだ」と読むより、やわらかい感じがしませんか。日本人には馴染みの「間」は「ま」と読んで距離や間隔、あるいは時間、空間、余白などさまざまな意味を持ちあわせています。もともと「合う・会う」と字源が同じ「あわい」
2020年2月13日
日本には「たてる花」と「いれる花」があるといいます。神仏に立てて供える榊や檜、松などの常盤木が「たてる花」の原点で、この花を依代として天地をつなぎ、天と人をつなごうとする生け花の様式のひとつが、「たてはな(立花)」です。一方、「いれる花」とは、自分の好きな花を活ける「なげいれ」の
2020年2月6日
「いろは」と言えば、いろはにほへと。手習いの歌として知られる「いろは歌」は有名です。仮名47字、すべての文字を重複することなく網羅させた七五調のこの歌は、平安時代に生まれました。何かを覚えたり、習ったりと、ものごとの初歩の段階を「いろは」とあらわすのは、手習いで最初に書くのがこの
2020年1月30日
「客人」と書いて「まろうど」。古くは「まろうと」といい、「稀人(まれびと)」が変化した言葉だそう。「稀におとづれる人」「めずらしい人」という意味で使われており、日本人に「おもてなし」の心が根付いたのも、これが理由のひとつかもしれません。日本書紀の一節にも「高麗のまらひとを朝に饗へ
2020年1月21日
柳に眉と書いて、「柳眉(りゅうび)」。小筆でさっと描いたような、細くて美しい眉を、昔の人はこう呼びました。眉だけではありません。細くてしなやかな腰のことを「柳腰」、長く美しい髪は「柳髪」、細面の美しい顔を「柳顔」と、柳は美人の象徴でもあったのです。鏑木清方、上村松園などの美人画に
2020年1月10日
冬晴れの空を、冷たい風にのってちらちら舞い降りてくる雪のかけら。風花(かざはな)です。雪がみぞれやあられに変わっても、それも風花。降雪地から山麓へ雪片が吹き降り、花びらのような白いかけらが舞う、冬ならではの光景です。寒さに震えているときに白雪がちらつくと、はっとして思わず空を仰ぎ
2020年1月6日
あっちへゆらゆら、こっちへゆらゆら…。かなたこなたへ揺れ動くことを「たゆたう」と言います。漢字では「揺蕩う」。あえて意味を語らなくても、字面からなんとなくイメージが湧いてくることでしょう。それというのも、日本語の多くは自然を映しとって生まれたもの。四季折々の風物をながめ、心に感じ
  • 作家紹介
  • 美しい日本のことば
  • メッセージ
  • お問い合わせ
このページのトップへ