コラム
2019年9月12日
葎(むぐら)とは、ぼうぼうと生い茂る雑草のこと。そこに、たくさんを意味する「八重」がついて「八重葎(やえむぐら)」。分け入るのもたいへんなくらい、雑草が生い茂っているのでしょう。小倉百人一首に、その様子を表す歌があります。――八重葎しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり(
2019年8月19日
細く小さいと書いて「いさら」。「少しの」という意味を添える接続後です。そこに「波」が付いて「細小波(いさらなみ)」。小さな波かと思いきや、実は、秋の風物詩である「霧」のこと。ちょうどお盆が終わった後、七十二候では、深い霧が立つ「蒙霧升降(ふかききりまとう)」時期に入ります。この霧
2019年8月3日
杉といえば、杉花粉。花粉症に悩まされる人々の大敵ですね。およそ50年前に人工的に植樹された杉の木が、時を経て猛威を振るっていることに人々は憤懣やるかたない思いを抱いていることでしょう。でも、当の杉の木にしてみれば、そんなに嫌わなくても……と言いたいところ。望んでそうなったのではな
2019年7月26日
出ようか、出るまいか…。進もうとしてもなかなか進めないでいる、ためらった様子を古くは「いさよう」と言いました。のちに濁音化して「いざよう」に。十五夜の翌日の月が「十六夜(いざよい)の月」と呼ばれるようになったのも、なかなか出てこないからだとか。欠け始めたことに戸惑っているのでしょ
2019年7月14日
泥より出でて清らかな花を咲かせる蓮の花。その実が蜂の巣に似ていることから、もとは「はちす」と言いました。蓮の開花時期は、7月12日から16日ごろ。七十二候でいうところの「蓮始開(はすはじめてひらく)」です。暦どおり、ほころんだ蓮の花を見かけるのは、早朝から午前中にかけて。午後は固
2019年7月3日
白に南風と書いて「しらはえ」。梅雨明けに南東から吹きあげてくる季節風のことです。白南風に対し、梅雨どきに吹く風は黒南風(くろはえ)。どんよりと暗い梅雨空に、雲を払いながら吹き上げてくる風が、南から夏を運んできます。黒い風と白い風。他にも緑の風やピンクの風とも言いますね。本来、風に
2019年6月17日
「夜のしじま」で知られる「しじま」。黙や静寂を意味します。音のない静かな様子を表す「しじま」ですが、なぜか芭蕉のあの歌を思い出します。――古池や蛙飛びこむ水の音芭蕉が見たまま、聞いたままの情景が歌われています。水の音がするのに、なぜか静寂を感じさせる。しかも、芭蕉が見ている風景が
2019年6月3日
日本人であれば、知っておきたい言葉のひとつに「まほろば」があります。優れた良い場所、秀でた国土、という意味です。『古事記』の中で、倭建命が詠んだ歌はあまりに有名ですね。その歌に「まほろば」が出てきます。―大和は国のまほろばたたなづく青垣山ごもれる大和し美(うるわ)し 天皇の命によ
2019年5月20日
「文」と「色」で「あいろ」。模様のことです。もともと模様の意味を持つ「文」に色を合わせて「文色」。ものの形そのものも、こう言うのだそう。文字や文章などのように、目に見えるものの奥にあるのは作者の心のあいろでしょうか。形はあれどおぼろげで、受け手や状況によってさまざまな色に変化しま
2019年5月13日
かつて、公然と言えないことを匿名の文書にし、わざと落としておいた手紙のことを「落とし文」と言いました。権力者への批判や社会風刺はもちろん、好きな人への恋心などは面と向かっては言えませんよね。ネット社会の今では考えられませんが、昔は「落とし文」が伝達手段のひとつだったのです。この落
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