コラム
2021年4月1日
うららかな春の陽射しの中をそよ風が吹きぬけると、あたり一面がキラキラと光り輝いて見えます。それが「風光る」。春の季語です。まるで風が光そのものであるかのように、春風は光に満ちています。 ――日の春のちまたは風の光り哉(暁台) 晴れやかな春の日に賑わう町は、まるで風もきらきらと光っ
2021年3月27日
――つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ 兼好法師の『徒然草(つれづれぐさ)』、序文冒頭の「つれづれなるまゝに」は有名ですね。日常のふとした瞬間に、つい口ずさんでしまいそうな「つれづれ」は「徒然
2021年3月13日
漢字で書くと「愛しい」。愛しい我が子、愛しい人と、言葉ではうまく言い表せない切ない思いを、人はいつからか「いとしい」と言うようになりました。もとは幼児への愛情から、か弱く頼りなげで痛々しい、あわれでかわいそうなどと、気の毒がる様子でしたが、やがて「かわいい」「恋しい」「慕わしい」
2021年2月28日
美人=姿形の整った見目麗しい美しい女性。これが一般的な「美人」のイメージでしょうか。時代を象徴する美しい女性たちを描いた美人画や、文学、写真、映像といった芸術作品の多くが、「美人とはこういう女性」と定義づけていることもイメージづくりに一役買っているかもしれませんね。しかし、美人と
2021年2月19日
風の琴と書いて「風琴(ふうきん)」、オルガンの和名です。器官という意味のオルガン(organ)は、パイプ菅に空気を送り込んで音を出すことから、パイプオルガンとも呼ばれます。奈良時代に雅楽とともに伝来した「笙」は、音の鳴る原理がオルガンと同じ。息を吐いたり吸ったりして空気の振動によ
2021年2月9日
驟雨(しゅうう)とは、急に降りだす雨、にわか雨のことです。「馬」篇に、あつまるという意味の「聚」がついて「驟」。たくさんの馬が走り去ってゆくような雨の様子が浮かびます。日本語には自然をあらわす言葉が数多くありますが、雨もそのひとつ。驟雨は夏に多い、少し強さのあるにわか雨。しとしと
2021年1月22日
香道の世界ではよく知られている言葉でしょう。空が薫ると書いて「空薫(そらた(だ)き)」。香を焚いて室内に香りをゆきわたらせることです。平安時代、宮中では香はたしなみのひとつとされていました。自身のためはもちろん、訪れる人のためにあらかじめ香を焚いて部屋を香りで満たしたり、その香り
2020年12月25日
うつし世とは、生きている世界、現世のことです。周知の通り「現」とは「うつつ」、夢と現実を対比した「ゆめかうつつか」という表現はよく知られています。有名なのは『古今和歌集』にある歌、「世の中は夢かうつつかうつつとも夢とも知らずありてなければ」でしょうか。この世は現実なのか夢なのかわ
2020年12月9日
手と手を合わせる合掌の「掌」が「たなごころ」。手のひらのことです。古語では「手」を「た」、「な」を「の」と読むことから、「掌」とはつまり「手の心」。仏心を表す右手と、衆生(私心)を表す左手を合わせて拝めば、祈りになるというのもうなずけます。ひらひらと翻す様子から生まれたのでしょう
2020年11月21日
なんとも照れくさい、気恥ずかしい。鏡を見ずとも頬の赤らみがわかる。そんな様子が「面映(おもは)ゆい」です。面である顔が、ぽっと灯をともしたように赤みを帯びる。まばゆい光に照らされて、眩しそうに俯く姿が浮かびます。照れる様子に、面白がって囃し立てる人もいるかもしれませんね。「面白い
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