コラム
2021年12月20日
――銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも(『万葉集』より)(しろかねもくがねもたまもなにせむにまされるたからこにしかめやも)子に勝る宝はないと歌った山上憶良のこの歌で、「銀」を「しろかね」と呼ぶのだと知った人も多いのではないでしょうか。「しろがね」と濁音で読むようになった
2021年12月13日
古来より花にちなんだ言葉は多いですが、「波の花」もその一つ。冬の荒波に打ち寄せられた白い泡を花に喩えて「波の花」といい、花柳界では「塩」の隠語としても使われます。古くは宮中に使えた女官たちが、「女房ことば」として上品に塩を波の花と言ったそうで、女房と言えば、かつては上官に遣える秘
2021年11月25日
秋の終わりと冬の始まりを知らせる冷たい北風が、「木枯らし」です。国字で「凩」と書けば、色づいた木の葉を散らしてゆく風が目に浮かびますね。木枯らしは何日も吹き続けるわけではなく、突然吹いてきたかと思うと、半日か1日ほどで吹き止み、翌日はきまって穏やかな小春日和になるそうです。秋と冬
2021年10月14日
――吹き来れば身にもしみける秋風を色なきものと思ひけるかな(紀友則『古今六帖』)身にしみる秋風を色なきものと歌った平安の歌人・紀友則。色艶やかに染まる錦の秋には、まるでそぐわない「色なき風」ですが、出どころは万物の成り立ちにありました。天と地の間に流れる精気、木・火・土・金・水の
2021年10月1日
「この相撲一番にて、千秋楽〜」という口上、耳にしたことはありませんか。相撲でおなじみ、場所最終日に行司が呼び上げる結びの触れです。相撲以外にも歌舞伎や芝居など、興行の最終日を千秋楽と言いますが、出どころは謡曲『高砂』の結末。一同が口上を述べ、太夫元がその舞を舞ったことがはじまりと
2021年9月20日
――とくゆかしきもの巻染、むら濃、くくり物など染めたる。人の子生みたるに、男女と聞かまほし。よき人さらなり。 清少納言は『枕草子』の中で「ゆかしきもの」として、染物の仕上がり、子供の性別、身分の高い人のことなど、知りたくて仕方がないものを並べています。つまり、「ゆかしい」は心ひか
2021年9月13日
一日の中で、美しさと寂しさが同居する時間といえば、夕ぐれ時でしょうか。一年の中では秋。「秋は夕ぐれ」と言った清少納言の気持ちがよくわかります。夕ぐれを「夕間暮れ(ゆうまぐれ)」とすると、さらに時のあわいが感じられるような気がしませんか。昼と夜のあわい、日が落ちて、だんだんとうす暗
2021年9月6日
「おかげさまで、なんとか無事に…」と、普段なにげなく使っている「おかげさま」は、外国語では表現しづらい日本ならではの言葉です。英訳されると、「Thankyouforyourhelp」「Thankstoyou」と、「for」や「to」の後には必ず対象の人やその行為などが入ります。し
2021年8月30日
季節の移り変わりをいち早く教えてくれるのは空でしょうか。とりわけ雲は季節を先取る名手。澄みわたる空の彼方と此方の雲が行き合う姿、夏の終わりと秋の始まりを表した空模様が「行合の空(ゆきあいのそら)」です。 ――夏衣かたへすずしくなりぬなり夜やふけぬらむゆきあひの空(慈円) 空の上で
2021年8月23日
秋の夜ではなく、「夜の秋」。秋とは言っても夏の季語で、夏の終わりに感じる秋の気配を俳句の世界ではこう表現するのだそうです。――涼しさの肌に手を置き夜の秋(高浜虚子)立秋をすぎた辺りから、なんとなく朝夕に変化を感じることがあります。心なしか空も遠くなったような、ひと雨ごとに風も涼や
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