コラム
2019年6月3日
日本人であれば、知っておきたい言葉のひとつに「まほろば」があります。優れた良い場所、秀でた国土、という意味です。『古事記』の中で、倭建命が詠んだ歌はあまりに有名ですね。その歌に「まほろば」が出てきます。―大和は国のまほろばたたなづく青垣山ごもれる大和し美(うるわ)し 天皇の命によ
2019年5月20日
「文」と「色」で「あいろ」。模様のことです。もともと模様の意味を持つ「文」に色を合わせて「文色」。ものの形そのものも、こう言うのだそう。文字や文章などのように、目に見えるものの奥にあるのは作者の心のあいろでしょうか。形はあれどおぼろげで、受け手や状況によってさまざまな色に変化しま
2019年5月13日
かつて、公然と言えないことを匿名の文書にし、わざと落としておいた手紙のことを「落とし文」と言いました。権力者への批判や社会風刺はもちろん、好きな人への恋心などは面と向かっては言えませんよね。ネット社会の今では考えられませんが、昔は「落とし文」が伝達手段のひとつだったのです。この落
2019年5月2日
玉に箒と書いて「たまははき(たまばはき)」。酒の異名です。本来の意味は、その名のとおり、玉飾りのついた箒のこと。昔々、正月の子の日に蚕室を掃くのに使った小さな箒をこう呼びました。年の初め、天子は自ら田を耕し豊穣を祈り、皇后は蚕室を掃いて養蚕の神を祀る儀式を行いました。奈良時代に中
2019年4月25日
とりどりの色でにぎわう百花繚乱の季節。花のかんばせもにこやかです。「かんばせ」とは顔のこと。泣いたり笑ったり怒ったり、天気ひとつで色を変えるかんばせには、見ているほうもついついつられてしまいますね。顔、顔容、花顔、貌、面など、「かんばせ」と読ませる漢字はいくつもあり、紫式部や芭蕉
2019年4月20日
―ほのぼのとまどかに愛らしい。均整、優美の愛らしさでは、埴輪のなかでも出色である。この埴輪の首を見てゐて、私は日本の女の魂を呼吸する。日本の女の根源、本来を感じる。ありがたい。(「川端康成全集」第15巻)お気に入りの埴輪を手元において愛でる川端。文豪、川端康成は早くに両親を亡くし
2019年4月9日
頭上にも、足元にもむれ咲く桜。散ってなお美しい花は、桜をおいて他にはないような気がします。ましてや、水面に浮かぶ花筏(はないかだ)。舞い落ちた先が水の上というのもみごとですね。最後にひと花咲かせる桜の花の姿に、今も昔も変わらず人は心奪われます。―花さそふ比良の山風吹きにけり漕ぎゆ
2019年4月4日
木の末と書いて「こぬれ」。木の枝さきのことです。今は「梢(こずえ)」と書くほうが一般的かもしれませんが、木の根元に対し、「木の末」とするほうが木そのものの樹形が浮かぶようではありませんか?言葉には、先人たちの智慧や心象風景がつまっているのでしょう。 「こぬれ」は「木の末(このうれ
2019年3月29日
ーゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。 鴨長明の『方丈記』の冒頭です。世の中を川の流れにたとえ、諸行無常のはかなさを綴っています。よどみに浮かぶのが「泡沫」、「うたかた」です。 とうとうと流
2019年3月21日
夢見鳥(ゆめみどり)とは、蝶の異名です。ひらひらと舞う様子は、たしかに小鳥が飛んでいるようにも見えますね。「夢」に「蝶」と言えば、老荘思想で知られる荘子の『胡蝶の夢』。夢見鳥は、もうひとつの異名「夢虫」と併せて、その故事から生まれました。うとうとと居眠りをしていた荘子は、蝶になっ
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