コラム
2021年6月21日
画家の造語でしょうか、川合玉堂の代表作に『彩雨(さいう)』という雨にけぶる紅葉の風景を描いた作品があります。色のないはずの雨に色を見て、紅く色づくもみじの山里に彩雨を降らせています。『万葉集』の中にも、それと思わせる歌があります。 ――しぐれの雨間なくしふれば三笠山木末(こぬれ)
2021年6月8日
銀舎利とは、ご飯、白米のことです。寿司屋でなじみの「シャリ」は酢飯ですが、そもそも「舎利(シャリ)」は仏舎利といって、お釈迦様の遺骨をあらわす仏教用語。それが白米の隠語になったのは、日本人の神々への信仰心の表れでしょうか。たしかに、炊きたてのつややかな白いご飯は神々しさを感じます
2021年5月12日
「玉の緒」とは、いのちのことです。玉は魂をあらわし、緒は肉体と霊魂をしっかりつなぎとめる紐のこと。つまり、心と体がひとつになった生命体が「玉の緒」です。もとは宝石をとおす紐や、玉飾りそのものを玉の緒といったそうで、それを「いのち」とすれば、生命が宿った形は勾玉(まがたま)のように
2021年4月25日
「踏青(とうせい)」とは、文字どおり青きを踏む。春先の萌え出た青草を踏んで野山を歩き遊ぶことですが、「野遊び」と書くのとは趣がちがい、踏青とすれば、素足からじかにやわらかな草の感触が伝わってくるような気がしませんか。春の季語になるのもうなずけます。もとは中国にあった風習。それが日
2021年4月1日
うららかな春の陽射しの中をそよ風が吹きぬけると、あたり一面がキラキラと光り輝いて見えます。それが「風光る」。春の季語です。まるで風が光そのものであるかのように、春風は光に満ちています。 ――日の春のちまたは風の光り哉(暁台) 晴れやかな春の日に賑わう町は、まるで風もきらきらと光っ
2021年3月27日
――つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ 兼好法師の『徒然草(つれづれぐさ)』、序文冒頭の「つれづれなるまゝに」は有名ですね。日常のふとした瞬間に、つい口ずさんでしまいそうな「つれづれ」は「徒然
2021年3月13日
漢字で書くと「愛しい」。愛しい我が子、愛しい人と、言葉ではうまく言い表せない切ない思いを、人はいつからか「いとしい」と言うようになりました。もとは幼児への愛情から、か弱く頼りなげで痛々しい、あわれでかわいそうなどと、気の毒がる様子でしたが、やがて「かわいい」「恋しい」「慕わしい」
2021年2月28日
美人=姿形の整った見目麗しい美しい女性。これが一般的な「美人」のイメージでしょうか。時代を象徴する美しい女性たちを描いた美人画や、文学、写真、映像といった芸術作品の多くが、「美人とはこういう女性」と定義づけていることもイメージづくりに一役買っているかもしれませんね。しかし、美人と
2021年2月19日
風の琴と書いて「風琴(ふうきん)」、オルガンの和名です。器官という意味のオルガン(organ)は、パイプ菅に空気を送り込んで音を出すことから、パイプオルガンとも呼ばれます。奈良時代に雅楽とともに伝来した「笙」は、音の鳴る原理がオルガンと同じ。息を吐いたり吸ったりして空気の振動によ
2021年2月9日
驟雨(しゅうう)とは、急に降りだす雨、にわか雨のことです。「馬」篇に、あつまるという意味の「聚」がついて「驟」。たくさんの馬が走り去ってゆくような雨の様子が浮かびます。日本語には自然をあらわす言葉が数多くありますが、雨もそのひとつ。驟雨は夏に多い、少し強さのあるにわか雨。しとしと
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