コラム

言祝ぐ

2019年11月13日

―― わが君は 千世にやちよにさざれ石の 巌となりて苔のむすまで

(あなたには千年も八千年も、ずっと長く生きてほしい。小さな石が大きな岩になって苔が生えるまで)

 

  ご存知、わが国の国歌「君が代」の元になった『古今和歌集』第七巻、長寿や繁栄を祝う「賀歌」の代表作、「読み人知らず」の歌です。

 

 「めでたい」という意味の「寿(ことぶき)」は「ことほき」がなまった言葉。「こと」と「ほき」は「言」と「褒める、誉む」を合わせたもので、「言祝ぐ」や「寿ぐ」「賀ぐ」など、言葉で祝うことを「ことほぐ」と言います。

「おめでとう」「お幸せに」という祝福の言葉は、言う方も言われる方も気持ちが暖かくなりますね。

 

 古来より人々は口から発した「言(こと)」はそのまま「事」に結びつくと考え、祝いの席での忌み言葉はタブーとされてきました。というのも「言」と「琴」の出どころは同じ。天に響く琴の音のように、口から発せられた言の葉は神々に届けられると考えたのです。

 神社などで聞かれる祝詞がそう。あれほどのかしこまった祝いの言葉でなくても、古人たちはめでたいことがあると「めでたいめでたい」と言って讃えあい、互いの幸せを祈る言葉を口々に言い合いました。

 

 いい言葉はいい出来事を運んできます。自分が嬉しいときも相手が喜んでいるときも、言葉にして悦びを讃えてみてください。その瞬間から幸せが始まることでしょう。

(191113 第57回 「万歳図」東雲斎画)

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