コラム

風花

2020年1月10日

 冬晴れの空を、冷たい風にのってちらちら舞い降りてくる雪のかけら。風花(かざはな)です。雪がみぞれやあられに変わっても、それも風花。降雪地から山麓へ雪片が吹き降り、花びらのような白いかけらが舞う、冬ならではの光景です。

 

 寒さに震えているときに白雪がちらつくと、はっとして思わず空を仰ぎ見てしまいませんか。まるで、風が花を咲かせたのではないかと思うほどに幻想的で、儚い夢を見ているような。

 高浜虚子は、こんな句を残しています。

 

―― 日ねもすの風花淋しからざるや(「五百五十句」より)

 

 日ねもすとは、一日中のこと。虚子がこの句を詠んだ正月2日は、一日中、風花が舞っていたのでしょう。還暦を過ぎたころの句であったようです。演舞する風花が我が身と重なったのかもしれません。人の一生は儚い夢のようなもの。厳しい寒さにいや増す寂寥感がしのばれます。

 高山や荒れた土地、水の中でも花は咲き誇ります。ましてや寒風に咲く花。厳しさにたえてこそ、美しい花が咲くのでしょう。

(200110 第63回)

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