コラム

照葉

2019年12月30日

 晩秋から冬にかけて、茶室ではたびたび花と一緒に赤や黄色に色づいた葉が見られます。それが「照葉(てりは)」。寒さが深まるほどに色を変える樹々の葉が、太陽の光に照らされているのは、なんとも美しい光景です。

 朝日を浴びて黄金色に輝いたかと思えば、夕日に燃えるような真紅に染まる。まるで太陽の光が移り込んだかのようで、照葉と呼ばれるのもうなずけます。

 

―― 茶の湯には 梅寒菊に黄葉み落ち 青竹枯木 あかつきの霜(利休百首)

 

 茶の湯を宇宙ととらえた千利休。この歌は陰陽のバランスを詠んでいます。暑いときには涼やかに、寒いときには暖かく、派手なものには地味なもの、明るいものには暗いもの、新しいものには古いもの。利休の思う美しさとは、大自然に見る偏りのない世界でした。

 

 飾られる照葉は美しい姿形のものばかりではありません。虫にかじられ縁が欠けた葉もまた、花とともに色を添えます。冬枯れの中の照葉を一枝挿すだけで、茶室は自然そのままの景色に変わります。

 花のいのちを照らすように、枯れてもなお凛と美しく立ち映える照葉。最後に一花咲かせる照葉は、どんな花よりも華やかです。

(191230 第60回 写真:『庭で育てる茶花の図鑑 [炉編]』より)

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