コラム

手習い

2018年11月25日

 手習い(てならい)とは、文字を書く練習のこと。このときの「手」は文字を書くことを表しています。
 習うは「倣う」とも書きますが、どちらかといえば、「習う」は人から教わることを、「倣う」は手本をまねるという意味で使われることが多いようです。
 ただ、習うは「(牛馬を)馴す」「(地面)を平す」と同根語で、「なれあう(馴合う)」「馴歴(ならふし)」「ならぶ(並ぶ)」などの言葉が語源であることから、教えてもらうのではなく、一定のルールにのっとって何度も繰り返して身につける、ということになるのでしょう。

 

「習うより慣れよ」。

 頭で考えるのではなく、まず体に覚えさせることが取得の近道と、古代の教養人たちの間でも手習いは欠かせなかったようです。
 
−    天、土、星、空、山、川、峰、谷、雲、霧、室、苔、人、犬、上、末、硫黄、猿、生ふせよ、榎の枝を、馴れ居て「天地の詞(あまつちのことば)」
 
−    色はにほへど 散りぬるを 我が世たれぞ 常ならむ 有為の奥山  今日越えて浅き夢見じ  酔ひもせず 「いろは歌」
 
 これらの歌が今に残るのも、先人たちの手習いのおかげ。今に残る古きものはすべて、会ったこともない、遠い過去の人たちからの贈り物ですね。
(20181125 第19回)

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