コラム

錦秋

2018年11月1日

 木々が紅葉し、錦のように見える美しい秋を錦秋(きんしゅう)と言います。

 春夏秋冬、どの季節もなくてはならない大切な季節ですが、中でも実りの秋は冬を迎える前、終わりに近いもっとも大切なときだとされています。

 

 ことわざに「危急存亡の秋(とき)」とあるように、生き残るか滅びるかの瀬戸際を秋に見立てたのも、訪れる冬を乗り越えられるかどうかの分かれ道と同じだからなのでしょう。

 一年をひとつの季節であわらすときに秋が使われ、歲月とするのも、命をつなぐ大切な季節だからではないでしょうか。

 

 宮本輝さんの小説に、同じ読みの『錦繍』という作品があります。こちらは、かつて夫婦だった男女が往復書簡で思い出を綴るという、織物のように美しい物語。錦のように紅葉した秋を思わせます。

 人生に岐路はつきもの。そんなときは、錦を思いたいものですね。

(20181101 第12回)

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