コラム

東雲

2018年10月23日

 朝まだき、有明、朝ぼらけ、暁(あかつき)、東雲(しののめ)、曙(あけぼの)など、日本には「朝」を表す言葉がたくさんあります。その中のひとつ、東雲は、東の空に朝日がのぼり、雲のまにまに陽の光がのぞきはじめた頃でしょうか。
 

 遠い昔、まだ篠竹を粗く編んだ網目が明かり採りだったころ、朝の光が篠の目(間)から差し込み夜明けを知らせてくれました。そこから転じて夜明けそのものを東雲と言うようになったそうです。
 夜が明ける順番としては、まだ明け切らない頃を「朝まだき」、「有明」「朝ぼらけ」「暁」はだいたい同じ時刻を、そして「東雲」「曙」と続きます。

 

 自然とともに生きる日本人は、刻々とすぎゆく時間を愛おしむように名前をつけ、それぞれの時を胸に刻んでいたのでしょう。朝顔を「東雲草」と名づけるところもセンスがいいですね。
 

 目標を達成し、次の挑戦を表す「成功の暁には」という言葉も、新しい時代が到来する意味で「曙」が使われるのも、流れる時間の中で生きていることを思い出させてくれます。

(20181023 第9回)

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