美しい日本のことば

淑気

2018年9月26日

 淑気(しゅくき)とは新春を迎えたときの、周囲に漂う清々しい空気のことをいいます。

 あらためて私たち日本人は、「気」という言葉に特別の意味を込めて使い分けていると感じます。「気品が漂う」「気が合う」「気がつく」「やる気がある」……。その他、空気、電気、運気、一気、気候、気功など、目には見えないが確かに存在する力を見きわめ、絶妙な言葉をあてがってきました。

 そのなかでも、淑気は一頭抜きん出た香気を醸していると思います。

 大晦日、一年をふりかえり、自省したあとの心があらたまった様子。気持ちを新たにするうえで、元旦ほど適しているときはないでしょう。

 余談ですが、大晦日の「晦」とは暗いという意味。大がつくのは、一年の最後の日だから。一年をふりかえって暗かったところを反省し、さらなる向上・精進を自分に誓う。そんな、あらたまった心持ちを大切にしたいものです。

(20180926 第1回)

 

 

著者:神谷真理子

兵庫県姫路市出身。もの書き。
Chinomaサイトの「ちからのある言葉」、雑誌『Japanist』取材記事、保育園幼稚園関連の絵本など執筆。詩集『たったひとつが美しい』(神楽サロン出版)

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