コラム

白南風

2019年7月3日

 白に南風と書いて「しらはえ」。梅雨明けに南東から吹きあげてくる季節風のことです。白南風に対し、梅雨どきに吹く風は黒南風(くろはえ)。どんよりと暗い梅雨空に、雲を払いながら吹き上げてくる風が、南から夏を運んできます。
 

 黒い風と白い風。他にも緑の風やピンクの風とも言いますね。本来、風に色はありませんが、日本人はあたかも風に色があるように、目に映る自然の色をそのまま風に乗せて表現します。
 光をまとった南風は、生き物たちに精気を与えるのでしょう。緑はいよいよ青く茂り、花は色も香りも艶かしさを増してゆきます。
 

 プラントハンターの西畠清順さんは、植物にとって花は生殖器だといい、花が咲いているときは一生懸命性交をしているのだと言っています。
 真夏の空に咲く花は南国のように色鮮やかで、街を歩く若者たちもカラフルな装いに様変わりして活動的です。

 白南風が運んできた夏は恋する季節。人も植物も恋をしているときが、一番、きらきら輝いて美しいですね。

(190703第48回)

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