大黒柱
2018年10月11日
「一家の大黒柱」と言えば、その家の主。多くは家族を養う稼ぎ頭の父親のことをそう呼びますが、共働きやひとり親など、家族のかたちがさまざまになった現代となっては、その限りではありません。
語源は諸説あるようですが、その名のとおり、七福神の大黒様にゆかりがあるようです。
日本家屋に見られる一番太い柱、心柱のことを大黒柱と呼んでいるのは、心柱のそばには必ず台所が置かれたから。台所には食べ物の神様である大黒天が祀られていたからです。
仏教からもたらされた「大黒(だいこく)」が「大国」に通じるとして、神道の大国主命(おおくにぬしのみこと)と合わさり、豊穣・財福の神となった大黒様。伝来当初は憤怒の形相だったようですが、心優しき大国主命にほだされたのか、今では満面の笑顔で福を呼びます。
大黒柱に寄り添う台所は、お母さんのあづかるところ。家族の健康を気づかい、お腹と心を満たすために美味しいご飯をつくります。やさしく明るいお母さんの笑顔は、一家に福を呼び込むのでしょう。
(20181011 第5回)
著者:神谷真理子
兵庫県姫路市出身。もの書き。
Chinomaサイトの「ちからのある言葉」、雑誌『Japanist』取材記事、保育園幼稚園関連の絵本など執筆。詩集『たったひとつが美しい』(神楽サロン出版)